第3話<復讐始動> | ||||
信じたくないが、母が認めている以上紛れもなく本物の異母兄妹だ。 私の兄は、私に復讐を始めた。 「なぁ、松尾!」 クラスメートの一人、越川英次が美咲に声をかけた。 「…本当に…橋川と付き合ってるのか?」 「え?付き合ってないよ。本当に…付き合ってないの!信じて」 何故そんなことを聞くのだろう。 そう思いながらも誰にでもいいからその事を信じてもらいたかった。 「本当か?!…俺…実はお前が好きだったんだよ―」 ピンポーンと松尾家のチャイムが鳴る。 「はーい」 インターホンの音に気付き、和美が客を出迎えた。 「ご無沙汰してます」 そう言うのは橋川充だった。 「…今度は何の御用ですか」 和美は驚いて声が上手く出せなかった。 「僕の事は充って呼んでいいですから。 貴女の旦那さん。帰って来ました? 帰ってこないなら、また浮気しにでも行ってるんでしょうか」 彼は少し不機嫌に嫌味を言う。 「主人は出張中です!用がないのなら出て行って―」 和美はドアを閉めようとした。 しかし―それを充が阻止する。 「そんな態度取らないで下さいよ。 用なんてあるに決まってるじゃないですか。 用がないのにこんな憎い家に来るハズがない。」 彼を恐ろしいと思う和美はただただ驚く事しかできなかった。 「え?」 美咲は我耳を疑った。 「何度も言わせるなよ…俺…お前が好きなんだよ」 美咲は越川から告白をされていた。 「…ごめん私、今恋愛なんて…」 そんな余裕などない。 「どうして?やっぱり橋川と付き合ってるんだろ!!」 いつも優しい越川が突然怒り出した。 「違う!!それだけは本当に信じて…」 「信じるから俺と付き合ってよ」 『好き』だという気持ちがない相手と付き合う事なんてできるだろうか… 「…やっぱり…」 「付き合うよな。お前は俺と付き合うんだ」 信じてもらいたいと思う美咲を逆手にとった越川に何も言えなかった。 松尾家に居座る橋川充。 目の前の椅子に和美が座った事をきっかけに話を始めた。 「逃げようとしてますか?ここから あの男も置いて?貴女にそんな事ができるんですか?」 「…お父さん」 美咲は家の前で自分の父親を見つけた。 「お、美咲。どうした?今帰ってきたのか?遅いなぁ」 出張から帰ってきた父親は美咲の頭を撫でて、家の中に入って行った。 父のいなかった間の出来事を話すべきだろうか。 いつものように父は「ただいま」と和美に言い、リビングに足を踏み入れた。 「美咲…お父さん…」 出迎えた和美はどこか申し分けなさそうだった。 その後ろから現れた人物を見て健史は驚いた。 「お帰りなさい。 もちろんこの声は橋川充だ。 「また来てたの?!」 美咲は充を見て思う。 まだ何か用でもあるのだろうか。 『また』という美咲の言葉に驚く健史。 「ごめん美咲。また来ちゃった…。 ではそういう事で、お邪魔しました。美咲、ちょっと来てくれ」 健史は何も言わず彼を見てただ立ち尽くしていた。 父はやはり気付いているんだろうか。 彼が、自らの息子である事に… 美咲は充の後に続き、玄関まで行った。 「さ、あの男は俺に気付いたのかな。」 「父さんを試してるの?」 美咲が言う。 「そうかもな。じゃあ美咲、お別れのキスを頼むよ」 ニヤニヤと充が言う。 「からかうのはやめてよ」 「でも俺達付き合ってることになってるんだよ?」 「そうしたのは貴方でしょ?!」 その時、「美咲!来なさい」と、父の声がリビングから聞こえていた。 行かなきゃ。そう思った美咲はリビングへと向かおうとしたが何かにグッと腕を引っ張られた。 それは兄の充で、耳元でこう囁く。 「言っちゃダメだよ。お前が知ってる事。できるよね、僕の愛する妹なんだから―」 そして橋川は美咲の頬にキスをした。 「なっ何―」 「じゃね」 そう言うと橋川はドアを開け、去って行った。 何て男なんだろう。 ああして女を何人もたぶらかしてきたのだろうか。 怖い男だ。 リビングに戻ると、美咲はすぐに父に声をかけられた。 「美咲!あの男とはどういう関係だ」 「ただのクラスメート」 美咲はあえて言わなかった。 それは充に「言っちゃダメ」と言われた事とは何にも関係はない。 健史の口から美咲に本当の事を言ってくれることを願っているからだった。 「…もうあいつには近寄るな。一切口も聞くな!」 しかし美咲の願いは虚しく終わった。 「どうして?!理由を教えてくれなきゃ―」 「理由も何も無い!とにかくだ。喋らなければいいんだ。」 まだ知られたくないのか。自分の犯した事実を― 美咲は母と目を合わしたが、何も言葉は交わさなかった。 |
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第四話…舞台は遊園地。 越川君が美咲ちゃんを誘って…そこになんと偶然充もいたりして…! もちろん充は一人で遊園地に来たわけじゃないんですよw 彼女と一緒…なんですよねー…充は本当、謎だなぁ。。。
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