クリスマス・プレゼント | ||
12月25日。 21歳ともなると、周りの友達は彼氏とクリスマスを楽しんでる。 しかし美加子はちょうど昨日、独り身となった。 そう、それはクリスマス・イブ。 しかもその別れ方が最低だった。 昨日は二人でベッドで寝てた。 そして、別れを告げられたタイミングも最悪。 その、やってる最中だったんだ。 美加子は昨日のことを嫌でも思い出していた。 「美加子…愛してる」 「私も…」 そう、ここまでは良かった。 いつもこうだったから。 しかし次の言葉には美加子もさすがに驚いた。 「確かに俺はお前のこと好きだ。 でも…最近、他にも好きな女ができたんだ…」 は? その一言だけだった。 どういうこと?二股をかけようか、と悩みを打ち明けているのかしら。 「二股が嫌だったら…別れてくれる?」 美加子はつくづく男を見る目がないな、と思った。 そして現在に至る。 美加子は待ち合わせで有名な噴水に腰かけていた。 ここでもしかしたらあの馬鹿な男に会えるかもしれない。 いや、本当は相手の女が見たい。 私からあの馬鹿な男を奪っていった女。 あの男には未練なんてないはずだけど… その時、隣に座ってきた男がいた。 特に見たことのあるような男ではない。 スーツ姿の男で、仕事帰りなのだろうか。 そしてその男は私に声をかけた。 「誰か待ってるんですか」 美加子は言葉を返す。 「…そんなところです」 「彼氏さんですか」 男は質問を続けた。 「いえ、昨日別れました」 美加子は素直に答えていた。 「そうなんですか…じゃあ、私と付き合いませんか」 男が言った。 美加子はそれを聞いて笑った。 「冗談はエイプリルフールの日だけにして下さい」 「冗談じゃないですよ。 真剣です。貴方を先ほど見たとき…何でしょうか、突然好きになりました」 「突然好きになるって…からかわないでください」 美加子は真剣に怒った。 一度もその男の顔は見ていないのに。 ずっと目は馬鹿男を探している。 「貴方はずっと誰かを探しているようですね」 まるで美加子にとってこの男は眼中にないようだ。 美加子は街ゆく人から目を逸らした。 あの男に未練があったら自分が馬鹿だ。 美加子は隣の男を見上げた。 その時、キスをされた。 な…な?!この人…大丈夫か…? 犯罪者ではなかろうか 美加子の動揺とは真逆でこの男は冷静だった。 「すいません、タイミングよく貴方がこっちを向いて下さったから」 運良くキスができました。 と言っているようだ。 顔もまだはっきりと見れていないのにキスをされた。 「私、黒田雄介と申します」 犯罪まがいなことをして自己紹介とは面白い人だ。 美加子はそう思って笑った。 その時、目の前に立ち止まる男女がいた。 美加子はその二人を見上げた。 奇跡と言うべきか。 その二人というのが― 「…美加子…?」 美加子は何も言わなかった。 「誰だよ、その男…」 「あんたにはもう関係ないことでしょ?!」 「…でも俺まだお前のこと好きだし… それにしてもお前、一晩しか経ってないのになんで新しい男作ってんだよ?!」 未練はないのか?!と言っているようだ。 馬鹿男の隣にいる女の子は少し戸惑っているようだった。 もしかしたら今まで私の存在を知らなかったのか。 「行きましょう…雄介さん」 美加子は雄介の腕を引いて歩いた。 「すいません、助かりました」 噴水から遠ざかった裏地で美加子は立ち止った。 すると、雄介はさらに狭い道へ美加子を連れ込んだ。 「さっきのは付き合ってるふりですか」 「すいません」 しかも雄介から逃れられない。 逃げようとすると止められる。 雄介の顔が美加子の方へ近寄ってくる。 美加子は涙を流した。 「だって!ああするしかなかった… あの馬鹿は何考えてるかわかんない!何であんなの好きだったのかなぁ?」 なぜか美加子は雄介に問いかけていた。 雄介は美加子を抱きしめた。 そして頭をなでている。 雄介は何もしゃべらない。 ずっと美加子の言葉に耳を傾けていた。 「貴方は今日初めて会ったのに…どうして私の愚痴を聞いてるのですか」 美加子はふと疑問に思った。 なぜこの人に愚痴をぶち明けてしまっているのだろう。 「それは私が貴方を好きで、貴方が私のことを好きになったからでしょう。 美加子さん、貴方は私が街で見つけたクリスマス・プレゼント。 これからは私のこと雄介と読んでください。よろしくお願いしますね。」 まるで今後も一緒にいるように言う。 しかし美加子もそんな気がした。 「私にとってはあなたの方がクリスマス・プレゼントかも」 美加子は笑った。 そんな美加子に雄介は頬に優しくキスをした。 終わり
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とりあえず雄介が好きです笑 かっこいーーーーー敬語でしかもスーツ。 そしてやさしい男だぁー。美加子さんの元カレは最悪だな。 |
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